“何か”
それが引っかかる。











Division.















リーマスがと打ち解けてからというもの、
リーマスはよくの部屋に来るようになった。

と、言うのも、は珍しい時期の転入生である為
新入生達と同室にするわけにもいかず、人数の関係で
一人部屋の状態なのだ。



この理由のほかにも、
リーマスがシリウスを一緒に居る事を拒んでいるので
部屋に戻りたがらないという理由があるのだが
それをが知る由はない。





「どう?。これも美味しいんだよ」


と、リーマスがのベッドの上で根っころがりながら
チョコレートを一枚差し出した。
はその差し出されたチョコレートを見ると
そのままリーマスに視線を移し、大きく溜息をついた。




「あのな、リーマス。君、今日は一緒に勉強するために
 此処に来たんじゃなかったのか?」



そう言いながらは椅子から身体を少し上げてリーマスの方へ向いた。




今日はあの掃除の日に約束した勉強を教える日だった。
約束どおり部屋に来たリーマスだが、にレポートの
書き方など教えてもらっている途中、飽きてしまったのだ。




リーマスはつまらなそうにを見ると、
手にもっていたチョコレートを、まだお菓子が沢山入っていると
思われる紙袋の中へ仕舞った。
そしてそれをベッドサイドのテーブルの上に其れを置くと
起き上がっての座る椅子のところへ行く。そして横から
の手元を見た。



「あぁ、これはイモリ入れるんだね?」
「・・・・」




ズラズラと並ぶ夥しい文字をリーマスはじっと眺めると
感心したように言った。
は本日何度目かわからない溜息を付くと
諦めたように再度羽ペンを手に持って
リーマスの見ているレポートの続きを書き始めた。


























「最近リーマス部屋に居ないね。」


どうしたんだろう?と首を傾げながらピーターは
本を読むジェームズに問うた。
ジェームズは小さく首を振ると、リーマスのベッドを見る。



ここ3,4日リーマスはあまり部屋に戻らない。
大抵談話室に居るが、それ以外の場所にも居るらしく
何処を探しても見当たらない時があった。
珍しく部屋に戻ってきたと思えば、必要な物や教科書を持って
どこかに行ってしまう。
夜もこの部屋では眠らず、別の場所に行っているらしく
リーマスが何時も食べているお菓子の匂いすら薄らぎつつあった。




ジェームズはリーマスがどうして此処に戻らないのか
という理由は何となく解っていたし、シリウスの様子が
少し可笑しい事もあったのでその事についてはあまり考えないようにしていた。






正直、ジェームズ自身どうしていいのか解らなかった。
バラバラになってしまった4人。
この7年間お世辞にも美しい生活を送ってきたわけではないが
それなりに喧嘩をし、それなりに殴りあった事だってあった。




特にリーマスの一件では本当に此処で終わりなのか
と思ってしまうまでに追い詰められた友情も今ではがっちりと
つながれている、とそう思っていたのに。



あと少しで卒業という年に来た少年、
事でまた繰り返されている。
あの頃はリーマスが一方的に拒絶していただけだったから
少々強引にでも心を開かせた。


しかし
今はそれと訳が違う。


が拒絶しているのはリーマスの時と同じだが
こちらにも必要以上にを拒絶する人間が居る。



そう、シリウスだ。



彼の行動が引き金となってそれぞれがバラバラになってしまった。
親友と言った自分でさえ近づきにくい。
それに、リーマスだけでなくシリウスまでもがこの部屋に居る事が少ない。


今度こそ、本当に駄目なのかもしれないな―――――



そんな諦めの感情が
自嘲気味の笑いとなって表面に出るだけだった。









「ピーター、僕ちょっと行く所あるんだけど・・・」



ジェームズはベッドサイドのテーブルの上に転がっている
自分の杖を拾い上げながらピーターに話し掛けた。
そして其れをローブの内ポケットに仕舞う。


ピーターはビックリしたようにジェームズの顔を見たが、
何かを察したように首を横に振った。



「い・・いいよ。僕は此処に居る」



そう言って笑ったピーターを苦笑いを含んだ瞳で見つめると
ジェームズは軽く手を上げて
部屋を出て行った。



残されたピーターは不安げに、静かに閉まっていく扉を見つめた。






部屋を出たジェームズは溜息を付くと
その目的の場所を睨みつけるように歩きだした。




目指すはあの場所。





大分昔から使われていない埃だらけの小さな教室。
彼――を最初に見つけたあの教室。





あの教室に何かある気がしてならない。
に関する“何か”がきっとあそこにある気がする。








・・・」





ジェームズは談話室からの部屋のある辺りに視線を向けると
静に其処から出て行った。










オレンジ色の夕日がステンドガラスを通って柔らかく部屋に降り注いでいた。











next


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何か起こる予感。