一人で居る事は、辛いですか?







One day.














“あの事件”以来、
はジェームズ達は愚か、
全員から距離をおいていた。

話し掛ければ頷くか、一言二言喋る程度で、
ペアになって行う授業などは
人数に関係なく常に一人で作業をする、そんな感じだった。





「・・・、一人になっちゃったね。」

ある日の授業中、リーマスは隣に座ったジェームズに
視線はを捕らえたまま呟いた。

ジェームズはリーマスの其の言葉を受けて、
一番後ろの端っこに一人で座るを振り返り、見る。



ジェームズの瞳にたった一人で黙々と作業する、
少し俯き加減のの姿が映った。


の頬には先日シリウスに殴られた
痛々しいアザが残っていて
何時しかピーターが綺麗だ、
と言ったあの蒼い瞳はくすんでいて生気が薄く、
精神的な疲労がの体中から感じられた。


は、見られていた事に気付いたのか
ジェームズたちのほうへ視線を移動し、
そしてジェームズと視線が合った。



ジェームズが声を出そうと口を開くが、
は素早く顔を背けてしまった。


ジェームズはそんな痛々しいを直視できなくなり、
表情を曇らせると静に手元に視線を戻す。


「ジェームズ・・・」


リーマスは目を細めるとジェームズを見つめた。
これは、リーマスが心配している時の癖で、
もっとも、本人は気付いていないのだけど。

ジェームズはそんなリーマスの表情を見ると
曖昧に笑いかけ、
今はどこぞでサボっているのかわからないシリウスを思った。





どうしてシリウスはああまでを嫌うのか。
今まで、こんな事は一度も無かった。
ピーターにしろ、リーマスにしろ、
只の一度だって拒絶した事は無かった、のに。

まるで今じゃ“拒絶”というより、
“迫害”に等しい思いがシリウスから感じられる。

警戒とはまた違う其の行動は
ジェームズにも、リーマスにも、そして
にも解らない物だった。



とシリウス。
彼等が和解する日は来ないのだろうか。





























ジェームズと視線が合って、
視線を逸らしたは魔法薬の課題を早く終らせようと、
ざくざくと適当に月桂樹の葉を刻んでいた。



「まだ其れを入れるのは早い。」


そして、其れをぐつぐつと煮えきる鍋に入れようとした
まさにその時自分の机の横から声が降ってきた。

「・・・え」

びっくりしてが顔を上げると、
其処にはスリザリンカラーのをつけた
少し長い黒髪で長身の少年が眉根に数本の皺を寄せ
自分を見下ろしていた。

は其の少年が自分の手元を見ていることに気付くと
今、まさに鍋に入れようとしていた月桂樹の葉を机に置く。

其の少年はの其の様子を見ると、
静に今まで組んでいた腕を解き、
に近づいた。

は何だか居心地が悪くて俯いた。




「貴様・・・グリフィンドールに転入しただな。
 一人で居るという所を見ると・・打ち解けては居ないようだな。」

ポツリ、と囁かれた其の言葉に、
はバツが悪いように下唇を噛んだ。


一番云われたくない、言葉だった。


「シリウス・ブラックに殴られていたのも、
 貴様だな。」

少年は赤く腫れているの頬を見ると
低い声で囁いた。

はただ、膝の上でこぶしを握り締め、
ぎゅっと目を閉じる事しか出来なかった。


頭の中は大パニックで、
この一瞬がとても長い。

早く過ぎ去ってくれ、とは強く願った。





その時、自分の隣の空いている席に
ふっと違和感が生まれた。

は不思議に思い、目を開けて隣を見ると
其の少年が座っていて、
が一人でやるには多過ぎる材料を、
ザクザクと切っていた。


「何・・やって・・」


驚いてが声を上げると、
少年はチラリ、と横に流れるようにある、
長い髪の置くから横目でを見ると、
ふっと溜息を漏らした。


「貴様一人では課題の期限までに間に合わん。
 グリフィンドールとペアを組むのは厭だが
 生憎私も一人なのでな。」


その少年はあっという間に材料を切り終えると
鍋を覗き込み、
インク壺に羽ペンの先を浸すと
羊皮紙にすらすらとレポートを書き始めた。

そして、蒼くて透明な液体の入った
二本の試験管を軽く振ると、
一滴ずつ鍋の中へ落とした。

そして、今度はのほうに顔を向けると
自分の切った材料と、が先程切った
月桂樹の葉を順番通りに鍋に入れるよう指示すると

「それに、貴様は転入したてで
 実験は初めてだろうし、やる事が危なっかしい。
 私の隣で失敗されるととばっちりがくるのでな。
 私が手伝わずに課題をクリアできないだろう?」

と、低い声で呟いた。

は驚いた顔で其の少年を見ていたが、
やがてふ、紐が解けるように
ゆっくりと微笑みを零すと

「あぁ、そうだね。」

と応えた。
少年はから視線を外すと、
鞄から本を取り出し、頁をパラパラと捲った。

そして少年は徐に
「私の名はセブルスだ。
 セブルス・スネイプ。」
と呟いた。

「よろしく、セブルス。」

は嬉しそうに微笑むと
鍋の様子を羊皮紙に書き始めた。


其の日から、彼等は時々行動を共にするようになる。






その時、セブルスが手にしていた本の表紙には
『魔法薬を志す者へ』と書かれてあった。





next.

自分がどうしてもセブルスと仲良くさせたかった
願望から生まれた設定。
どうでしょう??