遠く
遥か遠く。
僕の存在は・・・・
Disappearance.
酷く胸騒ぎがした。
「!!」
今まで一緒に過ごしてきたのに。
時々遠くに感じてしまう。
だから、
急に君が走りだした時
僕達は何処かで君と離れるべきではない、と感じていた。
だから、僕らは君を追いかけた。
「待って・・・」
は小さく叫び、
廊下を曲がろうと手を伸ばした。
長い廊下を曲がると、
目の前を歩いていたはずのあの男性の姿はなくなっていた。
「・・・道を・・間違えた・・・?」
一呼吸するたびに、
体中に酸素が行き渡り、汗が出る。
額に浮かんだ汗を拭うと、
もう一本の道、斜め前の細い方の廊下へ目をやった。
「・・・・」
視線の先、
目に入ってきたのはあの扉。
何故かそらす事が出来ない。
無意識に脚が動く。
一歩一歩近づくたびに、
鼓動が大きく、早くなっていった。
「・・・・」
自分がこの世界に現れた場所。
古くて、只誇り臭いだけの小さな部屋。
昔は、此処もちゃんとした教室だったのだと、
ダンブルドアは云っていた。
震える手で、
ドアノブに手を伸ばす。
ゆっくり廻すと、
キィィ、と古ぼけた音が耳に届いた。
ゆっくりと中に入る。
真っ暗な部屋の中に、
ドアが開けられた分だけの光が差し込んで
辺りにあるものの輪郭がぼやけて見て取れた。
「・・・・・けほっ・・・」
其処は、以前にも増して埃っぽかった。
は深呼吸をすると同時に
埃を吸ってむせた。
「・・・・・・」
トントン、と軽く胸元を叩いて呼吸を落ち着かせると、
周りを見渡しながら中に進み入った。
以前入ったときには注意してみていなかったが、
今見ると色々なものがある。
机と思われる其処には
もう何年も使われていないと見受けられる大鍋があり、
その隣の棚には沢山の水槽が置かれている。
ふと視線を元に戻すと、
あの鏡があった。
不思議な事に、
其の鏡だけは汚れていなかった。
誇りもかかっていないし、
蜘蛛の巣だってかかっていない。
小さな鏡なのに、
縁にはめられた銀色の枠が
其の小ささをカバーするかのように輝いている。
は
鏡に映った自分を見つめ、
そして鏡の中の自分に手を伸ばした。
ガラス特有の滑らかな感触。
ひんやりと心地良い温度が指先に触れた。
「・・・・」
はっ、とは扉を振り返る。
自分は男性を探しにきたのだ。
こんな所に道草を食っている場合ではない。
慌てて踵を返そうとすると、
クン、と何かに手を引かれた。
「・・・なっ・・・」
振り返ると、
自分が手を置いたその鏡が
不思議な光を放ち、
水色に輝いていた。
光はやがて、自分の腕にも伸びてきて。
「・・・何で・・・」
腕が
脚が
体が。
光を放ちながら薄く、揺らいでゆく。
待って。
僕は人を探さなきゃいけない。
見つけ出して、
ハリーたちと話を聞いて。
そしたらハリーとロンとハーマイオニーと
宿題をしたり、
チェスをしたり
クィディッチを教えてもらうんだ。
だから
待って。
「 」
振り返ってドアに手を伸ばした瞬間、
視界一面に青い光が満ちて
意識は完全に途絶えた。
「・・・わぁっ!」
が角を曲がった後、
ハリーは誰かにぶつかった。
「おっと・・・これは。
怪我は無いかの、ハリー。」
ハリー達が顔を上げると、
其処には微笑を顔に刻んだダンブルドアがいた。
「あっ・・・ダンブルドア先生・・。
あの・・を・・見ませんでしたか?」
ハリーはぶつかったのを謝ってから
ゆっくりと問いかけた。
その問いに、
ダンブルドアは一瞬表情を曇らせた。
「・・・・は・・もういない。
はすべき事をする為に・・・帰ったのじゃ。」
「―――――――――――・・・」
ダンブルドアの言葉が、
酷く遠くに聞こえた。
next
よくわからなくなってきたんじゃないかと思います。
ココら辺。
とりあえず、第一章(あったのか)は此処で区切り。
次からは話が一変します。