low
  初めは何でもなかったんだ。ただ、彼が近くにいて
  その傍にアタシの友達がいて。ただ、それだけのことだったんだ。








「よぅ!!」



そう言って彼は何時もアタシのところへ来る。

大体用件は宿題を見せろとか、
予習を見せろとか
そんな事ばっかり。

アタシは何だか其れが嬉しくて
必要とされてる、なんて錯覚を起こしてしまうほど。



「あんな、頼みあんねんけど・・・」


「はいはい。それで、今日は何のよう?」


「別にたいした事あらへんよ、
 今日ちょっとやりたいことあんねん。
 せやからこれからの授業でられへんのや。」


「適当に云っておいて、って事でしょ。
 しょうがないなぁ〜、じゃ、自販のジュースゴチね」


「おぉ!流石や!!物分りのええやっちゃなぁ〜」





そう言って大阪弁の彼、
忍足侑士は嬉しそうに頬を緩めてアタシの手を握って
何度も上下に振った。


その喜びように
アタシまで嬉しくなってしまう。
如何したらいいのかも解らない

でも


本当に、彼といる事が幸せで。





本当に、それだけで幸せな気分になってしまう。





今だけは、
この瞬間だけは
この人に必要とされている存在なんだと
そう勘違いしてもいいですか?





それだけで、アタシはどうしようもなく嬉しくなってしまうから。



サボりの後、
一生懸命アタシの机の上でノートを写す彼の伏せた
顔を見て、この状態が続けば良いのにって思った。


だけど、パタパタと足音が聞こえてきて、
次に聞こえた声に

「あ、ちょっと侑士!またに迷惑かけて!!」



ほんの少しの幸せな感じは
一気に現実味に戻された。



その声に顔を上げた彼は、
困ったような顔をして
小さく笑った。




「だってに見せてくれって頼んでも見せてくれへんやん。
 それににはちゃんとジュースおごるって契約しとんのやから
 迷惑なんかけとらんわ」

なぁ、とにやりと笑う忍足に
アタシはただ、同じように笑う事しか出来なくて。



いつからかな。




こんな風になってしまったのは。






「もー、、こんな馬鹿に見せる事無いんだよ?
 のノートなんて1000円出しても欲しがってる輩たくさん居るんだからー 
 もちろん私もその一人だけどね」




そういって笑った
アタシは酷く罪悪感を感じてしまう。


彼女は、凄くいい人だから。



だから、彼も彼女を好きになったんだ。






「えー、そんな事言って頭いいじゃん」



笑顔を浮べてみれば心は勝手に止まってくれる。






「それはが毎回ヤマ当ててくれるからだよ!」
「なんやそれー!俺にもヤマ教えてくれや!」
「えー、だけにしか教えない事にしてるからなぁ」




最初付き合う事になったと聞いた時
アタシは本当に悲しくて



でも、






今までどおりに接してくれるから
アタシはどうしようもなく嬉しくて







「なんでやー!俺らダチやん!えげつない」

「五月蝿いなー、は親友なの!」

「そうよ、と私の愛の証なのよね」

「愛?!俺にはないんか・・・」





だから、
アタシの隣で笑う彼と
その隣に居る彼女が何時までも笑っていてくれるように





「内緒」




アタシは今日も笑顔を絶やさないで居る。







いつかアタシがもっと好きな人が出来たら

その時は、この2人みたいに笑いあえるカップルでありたいと

アタシは思ってる。