樹魂の歌-クリスマス番外編-
「今日はクリスマスだね!」
朝食の席で隣に座ったハリーが嬉しそうに言った。
食べている途中でこちらに顔を向けたので
口にはスクランブルエッグがちょぴっとついている。
「そうだな」
はそのスクランブルエッグを見ながら
軽く答えた。
ハリーはその軽い答えにちょっとムッとしたらしく
首だけ向けていたのを身体ごと向けて、
いつものように興味無さげにパンをかじるに
食ってかかった。
「それだけ?」
は腕を捕まれたのでパンの続きを口に運べず
不機嫌そうな目をハリーに送る。
ハリーの口元には相変わらずスクランブルエッグが付いていた。
「それだけって…」何で、とが口を開くと
ハリーはムスっとした顔をして眼鏡の向こうから非難めいた目を向けた。
「クリスマスだよ、!わかってる?」
「何が?」
意味が分からない、とでも言うように首を傾げるに
ハリーはますます膨れた顔をする。
「楽しいこととかプレゼントとかあげ合いっこするじゃん!」
ハリーはそう言うと、ね?と口をとんがらせて見せた。
はあぁ、とかへぇ、とか曖昧な声を出すと
しばらく考えてから苦笑いして
ハリーの口元に人差し指をあてた。
「ハリー、口に卵がついてる」
のこの心無い(?)一言が
事件の始まりだった。
ハリーは其れまで掴んでいた手を離して
食べかけだったパンも机において立ち上がった。
その行動にロンやハーマイオニーは固まる。
「どうしたんだ、ハリー?」
今ひとつ状況を飲み込めてないは
いきなり立ち上がったハリーを驚いた目で見上げていた。
ハリーは思い切りを睨むと
何か言いたげに口を開きかけた後
椅子を跨いで通路に出た。
まだ皆が食事の最中だった為
このハリーの行動はやたらと目立ち
あちこちの視線がグリフィンドールの一角に集まる。
はその視線を感じ
慌ててハリーのローブの裾を掴んだ。
「ハリー、わかったから座れ」
しかし、その手をハリーは剥ぎ取る。
そして大きな声で、ほぼ叫んだ。
「もう、とは絶交だ!!」
ざわつく大広間。
ハリーはそのまま走って大広間を出て行った。
呆然と、走り去っていくハリーの背中を見つめた。
周りはざわつき、
やがて何時ものようにもとのざわつきに戻ったが
話のネタになっているのはやはりこの出来事であろう。
証拠に、スリザリンからの面白そうな視線がちくちくとを刺激していた。
「何だ、ハリーのヤツ・・・」
はそんな視線を全く気にせず
不思議そうに首をかしげると
何ら変わりないようにパンにかじりついた。
テーブルをはさんだ向こうで
ロンとハーマイオニーが何か言いたげに
こちらを見ていたが、ハーマイオニーが口を
開いた瞬間、邪魔が入った。
「ヘイ、。
奥さんと喧嘩かい?」
そう、言わずとしれたスリザリンのドラコ・マルフォイ。
丁度の背後の椅子に座っていたので
わざとらしく大きな声でに向って挑発めいた発言をする。
その言葉にドラコの傍に座っていたスリザリン生がどっと笑った。
「何だと・・っ」
その発言を聞いたロンがドラコに食って掛かろうとする。
ドラコはそのロンの行動を面白そうに、
あおるような視線を送っていた。
当然ロンはその挑発に乗ってしまうわけで。
「黙れっマルフォ・・っ!?」
ロンが立ち上がった瞬間
が手でロンを制する。
もちろんハーマイオニーも押えていた。
「ロン、止めておけ。こんなの相手にする価値は無い。」
は全く気にしていないような顔をしていった。
ロンはでも、と言いながらも
渋々に従って椅子に戻る。
ドラコはつまらなそうに其れを見ていた。
「腰抜けが」
ドラコの発言にまた周辺がわく。
は全く気にしていないという様子で
黙々と食事をとっていた。
やがて最後のひとかけらを口に放り込んだ時
ドラコが言った。
「奥さんは逃げてしまったのかい、?」
は口の中のものを飲み込むと
紅茶をゴクリと飲んだ。
そして徐に立ち上がるとドラコのほうに向く。
ドラコは面白そうにそれを見た。
はしばらくドラコを無表情で見た後、
ふっ、と息をついて
顔を近づけた。
「残念だな、マルフォイ。
君にも素晴らしい奥さんが居たらお互い苦労の一つや二つ、
互いに話し合えると思ったのに・・・・まぁ
それは君の性格じゃ奥さんも捕まえられないから論外と言った所だけどね」
はそう言うと無表情のまま
通路を通って大広間から出て行った。
残されたロンとハーマイオニーはニヤッとするのを堪え、
ドラコはポカンとした顔をしていたが
グチグチといい始めた。其れを聞いていたロンは
また食って掛かろうとしたが
ハーマイオニーの「負け犬の遠吠えよ。」の言葉で
それもそうだ、と頷いて満足そうに食事を頬張った。
は廊下を歩いていた。
ハリーの事を少し気にしながらも
何故ああまで怒るのかも解らないので
ひたすら首をひねるしかない。
しかも、ハリーとは喧嘩というものをしたことが無かったので
いきなり「絶交だ」とか言われても
如何したらいいのか解らない。
腹が立たない、といえば嘘になるが
やはり気になる。
うーん、と本日二度目の首傾げをしたとき
バタバタという足音がの思考を中断させた。
「!」
が振り返ると
其処には息を切らしたネビルが居た。
バタバタという足音を考えなくとも走ってきた事は解った。
は身体をネビルのほうに向ける。
「どうしたんだ、ネビル。走ってきて・・・」
ネビルはの前で止まると膝に手を付いて
呼吸を整え、そして顔を上げた。
「あの、さっきの、ハリーとの喧嘩について・・」
喧嘩、その言葉には思わず目を細める。
ネビルはちょっと怖がった表情を浮べたが
言葉を続けた。
「は知らないかもしれないけど―――・・・・」
コンコン、と誰かが部屋をノックする音が部屋に響いた。
ハリーは今朝ロンのお母さんから送られたクリスマスプレゼントの
クッキーを小さなテーブルに置いてドアを開けた。
「・・・・・」
其処にはばつの悪そうな顔をしたが立っていて。
ハリーはその顔を見た途端不機嫌な表情をした。
そして戸を閉めようとする。
「ちょっ・・・ハリー」
ガッと戸を掴んだに
ハリーは戸を閉めようとする腕に力を込めて
閉めようとする。
力を込め、戸を開けようとする。
同じように力を込めて戸を閉めようとするハリー。
端から見ればかなり間抜けに見えるこの行動中、
2人は大真面目に、そしてとても静に互いに譲らなかった。
段々疲れてきたは
思い切って口を開いた。
「ハリー、さっきはゴメン・・・
僕無神経だった。」
それでハリーは力を抜かない。
もちろんも力を抜かなかった。
「僕、こういう行事にはあまり関心が無くって・・・
ハリーの気持ち考えてなかった。」
ネビルが言っていた。
は知らないかもしれないけど
ハリーにとって、クリスマスは特別なんだ。
なぜなら、物心つく前に親を殺され、
虐待同然の扱いをされ
クリスマスなんか楽しいとも思わなかったハリーにとって
ホグワーツに来てからのクリスマスが
どれだけ楽しかったか。
クリスマスプレゼントがどれだけ嬉しかったか。
親が居なくても、嬉しい事があった。
初めて、クリスマスが楽しいと思ったあの日。
だから、クリスマスはハリーにとって特別なんだ、と。
は全く考えた事がなかった。
だから、ハリーに無神経にも興味が無いといった。
ハリーが怒るのも、当然だった。
「ゴメン、ハリー。」
がもう、力を込めていられなくなたその時。
「。」
戸を閉めようとしていたハリーが声を発した。
同時に力も抜いて、は勢い余って転びそうになる。
は少し驚いたようにハリーを見た。
「僕こそ、ゴメン。絶交だなんて・・・自己中だった。」
ハリーはしゅん、と下を向いていた。
はその姿をみて、思わず笑い出しそうになった。
「・・・お互い様だね。」
「・・・ホントだ。」
2人はクククッと笑うと
握手をした。
絶交取り消し。
「で、ハリー。ゴメン、僕プレゼントなくて・・・」
「うん。僕もだ。」
2人はまたお互いに苦笑いしあい
大広間へ戻っていった。
その後、ロン、ネビルやシェーマス等とバタービールで乾杯し
ケーキをがっついて夜中まで騒いで
翌日寝坊してマクゴナガル先生にしかられたことは言うまでもない。
『Happy Christmas,Harry.』
翌日、カード付きのお菓子セットが
ハリーの元に届いていた。
end
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一日遅れのクリスマス夢。
こういう番外編って書くの楽しい。
何か、こう温かいの書きたいな
とか思ってたらCPっぽくなってしまった・・・
最後まで意味不明。
これはまだハリーたちの時代にいた時の事ってことで。
お菓子セット、くれたのはもちろん・・・・