望む事が許されるなら。
幻想曲.08
コトン、と軽く本を置く音が聞こえる。
「此処にも・・・無い・・かぁ。」
ふわり、と静に舞うスカート。
彼女、は本を元の場所に戻すと
梯子の二段目からひらりと飛び降りた。
「此処にも無いと・・・もうちょっと・・奥の方か。」
は床に置いておいた宿題の薬草学の
レポート用紙を持つと、残念そうについさっきまで探していた辺り
をちらり、睨む。
そして、小さくため息をつくと
もう二、三個奥の棚に目をやった。
「・・・だいたいさ、こんなに宿題出さなくったって
良いのに・・・。」
は何時もにも増して多く出された宿題に
文句をつけつつその本棚へと向う。
「・・・」
「・・・・」
途中、何処からか人の話し声が耳に届いた。
「?」
は今まで図書室にいるのが自分だけだと思っていたので、
首をかしげると、声の持ち主を覗きたい衝動に駆られた。
「・・・・いや、それは・・・人のプライバシーだし・・」
と、ぶつぶつ云いながら
はそちらの方向を気にしないようにそそくさと
本棚に入り込んだ。
その本棚には、
沢山の薬草の名前の入った本や、
薬草のせんじ方、などと書かれた本がズラリ、と
並んでいてる。
「わぁ、此処なら見つかりそう☆
此処から探し始めればよかったんだなぁ、自分・・・。」
うん、てか、最近自分は独り言多いよな・・・。
ストレスでも溜まってるとか?
あはは、そりゃはげないように気をつけなきゃな―――。
ははは、と一人苦笑いすると、
ずりっ、と一冊、分厚い本を取り出した。
「・・・っ?!けほっ・・」
途端に大量の埃が降り注ぎ、
は思わず咳き込む。
「・・・・っこほ・・」
トントン、と胸の辺りを軽く叩いて
咳を止めると、本が入っていたその場所に目をやる。
「・・・ぁ・・」
本の抜き取られた其の場所は、
向こう側が丸見えになる状態で、
逆側にある本の影から内側の様子がうかがえた。
「・・・だから・・」
「・・・そう・・ふふ・・」
本が抜けた事によってか、
さっき気になった人の声が途切れ途切れに聞こえる。
低い男子の声と、
少し高い女子の声。
場所から考えてカップルだろうか?
「・・・デート・・・かぁ。」
は其の声に目を細めると、
向こう側が見える本の少しの隙間から
そのカップルと思える姿を捉えようと
そっと覗き込んだ。
「―――――え―――――」
目に映ったのは信じられない光景。
幸せそうに会話をする一組の男女。
本当に、端から見れば
こちらも自然と笑みがこぼれるような・・・
そんな2人なのに。
「・・・っ」
は抱え込んだ分厚い本と
レポート用紙を抱え込むと
喉に声を詰まらせ
其処から逃げ去るように走った。
この時、
一つの想いが壊れ
一つの想いが暴走し始めていた。
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よくわからなくなってきましたよぉ。
これは実際に私のともだちにあったストーリーなんですよね。
結構悲しかったです。