THE END





構わないよ。

譬それがこの世界の終わりだったとしても。




空は、深い青色で身震いしそうなほど晴れていた。



「・・・・・綺麗だね。」
「そうかな?」



彼女は、この空を見上げて綺麗だと言う。
けど、僕はそうは思わなかった。



「夜の空のほうがいいよ。」



落ち着くし。



そう言ったら彼女は笑った。


おかしそうに、だけど闇を含んで。




「リドルらしいや。」



あぁ、この笑顔。


「簡単に言えば、光よりも闇が好きって言う事でしょう?」



彼女は笑った。



彼女の、こんな笑顔が好きだった。
笑顔だけじゃなくて、彼女全体が。
彼女は、僕の求める闇そのものだから。




「でも、キミがグリフィンドールだなんて
らしくないね。。」
「そう?」


ゴロン、と草の上に寝転んだ僕が
眩しそうに彼女を見て言うと
は僕を見下ろして
微笑んだまま首をかしげた。





「・・・・そうだよ・・」




ゆっくり眼を瞑って、肺いっぱいに空気を吸い込む。
少し土臭い草の香りが
鼻腔一杯に広がった。





どの位時間が過ぎただろう。




僕の見上げる空は、
白い雲が流れて、風も流れていた。


「・・・・。」



僕は、いつのまにか隣で眠っている
に声をかける。


返事はなく、聞こえるのは静かな呼吸だけ。






「僕は、君が気に入ってる。」




返事は無い。





「僕には君が必要だ。」



聞こえるのは



。」



静かな呼吸だけ。




僕はそっと
彼女の唇に口付けた。
風が流れて、
彼女の黒髪が押し流される。
白い彼女の顔が露になった。



白くて綺麗な肌をしている。
髪は黒くて、閉ざされた瞳は深い蒼。
彼女と居ると自分の闇が深くなる。

僕の望みも大きくなる。




。」


名前を呼ぶと、
彼女はうっすらと目を開けた。


「・・・・キス、したでしょ。」
「起きているなら、返事位して欲しいな。」
「何言ってるんだか。」


くすくすと笑う。
僕も、笑った。


「僕には君が必要だよ。」
「あら、心にも無い事言うのね。」


楽しそうに笑っている。



「信じてくれないのかい?」
「貴方が人を欲しがる事なんて
 したこと無いもの。」



ましてや女性なんて。
はそういうと起き上がった。
長い黒髪がふわりを舞い、それと共にいい香りがした。





「・・・・そうだね・・・。」





僕も起き上がって、の少し前に立つ。
はずっと微笑んでいた。



「僕が欲しいのは、、君と」


サラリとの髪を梳くってその毛先に軽く口付ける。
そのままの唇に僕の唇を重ねた。
は軽く眼を瞑ってそれを受け入れる。




「この、腐りきった世界だよ・・・」




























カツン、と窓に何かあたった。



長い黒髪の彼女は
飲みかけだった紅茶をテーブルに置き、
クリーム色のカーテンを開ける。
その先には箒にまたがりフードを深く被った人影があった。


「久しぶりね。卒業以来かしら?」
「そうだな。」


にこりと微笑んでみせる。
二年ぶりに会った彼は少し背が伸びたのと
闇が濃くなっているだけで、何ら変わりは無かった。


「こんな夜遅くに何の御用?」



わざとらしく首をかしげて聞く。
愚問であることは 解っているが。
彼は、紅い瞳を細めて笑った。



「迎えに来たんだよ。」


あの頃と変わらない笑顔だった。


「行き先は何処?」

大体検討はつくけれど。


彼は外の闇と同じくらい
深く、闇で覆われているように見えた。


彼は、微笑んだまま。






「私と貴方が共に存在すれば、
 この世界は滅びるのよ?リドル・・・」




彼女も、蒼い瞳を細めて笑う。
僕は、すっと彼女の前に腕を出した。

「言ったろう?




 “僕には君が必要だ”って。」











構わないよ。



譬それが世界の終わりだったとしても。




僕の傍に君が居れば









それで良い。