全てが幸せにならない事なんて
多分、ずっと前から分かってたんだ。






真っ黒な闇に、吸い込まれそうな真っ白い雪。
まるで、闇に染まってしまった世界を浄化するように白き雪は天界から落ちてくる。



「・・・・雪・・・・・」




真冬の校庭に寝そべって空を見つめた。
真上から落ちてくる雪は何ともいえない。
その姿が、彼女のような儚さを持っているようで
無償に愛おしくなる。




「リーマス。」




不意に、雪と一緒に落ちてきた優しい声。
心の奥が熱くなるのを覚えた。



「・・・・・・・・」




今まで閉じていた瞼を開け、その瞳に彼女の姿を映す。
自然と、微笑がこぼれた。




「こんな寒い所で・・・・何してたの?
 死んじゃうよ?」





彼女、は優しい声で、優しい微笑で僕を包み込んでくれる。



「うん・・・・こうしていると、
 雪が、本当に綺麗に見えて仕方が無いんだ。」
「・・・・そう・・・」





僕はを見つめ、は空を見つめた。


「・・・好きなんだ・・・・」


熱を持った言葉は白い色をもって風に流される。


「そうね、本当に綺麗・・・」






違うよ、



僕は、君が好きなんだ。


愛してやまない、唯一の存在なんだよ。


ねぇ、気付いてる?

























「おい、リーマス。いいかげん告白しろよ。」



談話室に戻ると、は女子寮へと戻り、
僕はジェームズとシリウス、ピーターに捕まった。




「そうだね、そのうち。」

やんわりシリウスに応える。


「そのうちじゃ駄目だろ?
 もう、俺たち七年生だしさ。卒業するんだよ」


ジェームズは呆れたように云った。


「本当に云わなきゃ。
 七年間も想ってきたんだろ?」



シリウスも、不機嫌そうだ。


「・・・・うん。」





下を、見て目を閉じた。
今でもはっきりと思い出せる。
入学式で、隣の席に座ったの笑顔。


あの笑顔に、どうしようもなく惹かれた。


それから、自分が狼人であるとばれた時。
必死になってどうにかする方法や魔法を探してくれたこと。



『私は、リーマスの友達だよ。
 そんな事で、リーマスを嫌いになんかならない』



涙を流してそう言ってくれたあの声。



君が、君でよかった。
そう、思えた。







「は、早くしたほうが・・・。じゃないと
 他の人に取られちゃうよ?」




ピーターが、そわそわと言った。



「・・・それは困るな・・・・」






苦笑いをして、
女子寮を見つめる。



「何時か云うさ。」

















だけど僕は結局気持ちを伝える事が出来なかった。



卒業を控えた、そう、あの日、雪の中で
話をした丁度一週間後。





彼女は、死んだ。



生まれつき心臓の弱かった彼女は、
たまたま誰かにぶつかり階段から足を踏み外して―――






彼女は、綺麗なままだった。







「ねぇ、
 僕は、君が好きだったんだ。この世の中で、一番愛してたんだ。」





ねぇ、届いてる?



「いつか、君に伝えたいと思ってたんだよ。」






彼女と話したあの校庭で。
空に向って微笑んで、告白をした。






君に届くように、君に伝えるように。






「・・・本当に、愛してたんだ・・・・」












涙だけが、
温かいと感じた。











聞こえてるかな?
僕は君がずっと好きだったんだ・・・・・